
決算書とは
多くの中小企業では、税務申告のために「決算書(財務諸表)」が作成されているといっても過言ではありません。
しかし、本来「決算書(財務諸表)」とは、企業の経営成績や財務状態を正確に把握するために作成されるものであり、税務申告のために作成するというのは、「決算書(財務諸表)」を作成する本来の目的ではありません。
また、決算書を作成するための基礎となる記帳業務は、会計のルールに従って適正に行われなければなりません。しかし、非上場企業である中小企業にとっては、上場企業が使っているような「企業会計原則」や「企業会計基準」等の会計のルールに基づいて記帳業務を行おうとすると、大きな負担となってしまいます。
そこで中小企業の実態に即した形で、「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」と「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」という2つの会計ルールが作成されています。
中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)
「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」とは、次のような中小企業の実態に即した形で、「中小企業の会計に関する検討会」によって、平成24年2月に作成されました。
- 経理関係の人員が少なく、また高度な会計処理に対応出来ない。
- 会計情報の開示を求められる範囲が限定的である。
- 税法を意識した会計処理が行われている。
また「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」は、金融機関や取引先等の利害関係者への情報提供に資するとともに、計算書類等の作成負担を最小限に留め、かつ作成された計算書類等から経営者が自社の経営状態を把握し、経営判断に活用出来るように作成されています。
中小企業の会計に関する指針(中小指針)
「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」とは、中小企業の会計の質の向上やその取引実態に合った会計処理に資するために、日本公認会計士協会等の4団体により、平成17年8月に策定され、その後もより合理性のある指針とするために、継続的に見直し改訂が行われています。
「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」は、中小企業が会計処理を行うにあたって、本指針に拠ることを推奨するとしています。
中小会計要領と中小指針の違い
「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」と「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」は、ともに中小企業を対象にした会計のルールです。
「中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)」は、「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」に比べて簡易な内容となっています。
どちらの基準を利用するのかは、中小企業の実態に即して決めればよいとされていますが、役員の中に会計の専門家がいる会計参与設置会社については、「中小企業の会計に関する指針(中小指針)」に拠り会計処理を行うことが適当であるとされています。
| 中小会計要領 | 中小指針 | |
| 想定対象 | 中小企業 ※中小指針と比べて簡便な会計処理をすることが適当と考えられる中小企業 |
中小企業 ※とりわけ会計参与設置会社 |
| 国際会計基準との関係 | 安定的な継続利用を目指し、国際会計基準の影響を受けないものとしている | 国際会計基準とのコンバージェンス等による企業会計基準の改訂を勘案している |
| 各論の項目数 | 基本的な14項目 ※税効果会計、組織再編の会計等は盛り込んでいない |
18項目 ※税効果会計、組織再編の会計等も規定 |
| 各論の内容 | 本要領の利用を想定する中小企業に必要な事項を簡潔かつ可能な限り平易に記載 | 中小会計要領よりも詳細に記載 |
| 税務上の処理の取扱い | 実務における会計慣行を踏まえて規定 | 以下の場合に適用出来る ・会計基準がなく税務上の処理が実態を適正に表している場合 ・あるべき会計処理と重要な差異がない場合 |
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